谷川岳 烏帽子沢奥壁南稜フランケダイレクト

烏帽子沢奥壁 イメージ

1981年9月14日〜15日
 パーティ/L 小田中 智、砂子 勉

 烏帽子沢奥壁で残っているルートは、5級以上のルートだけだった。
南稜フランケは、一枚岩で傾斜も強く、難しいルートが多い。その中でも南稜フランケダイレクトルートは、5級プラスの最高グレードポイントがあり、日本でも数少ない難しいフリーのピッチという評価がある。
 ルートは、鎌形ハングからほぼ真っ直ぐに南稜の馬ノ背リッジの上部に抜けるラインである。

9月14日
 午後の特急で盛岡を発ち、上野で高崎線に乗り換え、土合に向かう。

9月15日(晴れ)
 まだ暗い中、土合駅に着き、長い階段を登り、通い慣れた一ノ倉沢出合へと車道を歩くが、昨日は雨が降ったようで、道路はぬれている。
 空は星空で今日は晴れそうだが、「壁はぬれているだろうな」などと思いながら歩く。今日一日のためだけに岩手から来たのだから、ちょっとくらい条件が悪くても帰れない。
 テールリッジを登り始める頃、夜が明けてきて、やがて衝立岩がモルゲンロートに染まり、光り輝いた。
 取付きに着くと壁はぬれており、鎌形ハングから水滴がしたたり落ちている。前の変形チムニーの時もそうであったが、砂子は乗り気がしないみたいだ。さっさと仕度をして小田中トップで登り出す。以後、ツルベ式で登る。
 登り出してしまえばこっちのもの、下りることはできないのだ。これがいつもの私の手口である。特に状態が悪い時には、さっさと登り出してしまうのだ。
 1ピツチ目、浅い凹角からぬれている鎌形ハングを人工で登り、チムニー状を登る。2ピッチ目、立木に登ってハングを越し、カンテ状からフェースを直上する。日にあたって岩は乾いてきたので、快適にフェースを登る。
 3ピッチ目、フェースをやや右上すると帯状のハングにぶつかり、この乗り越しがルートの核心部の5級プラスになっている。一歩、一手が難しく、思い切って微妙なスタンスに立ち体を伸ばすとホールドに手が
南稜フランケダイレクトルート図
届いた。冷や汗がドッと流れて緊張した瞬間だった。
 4ピッチ目、真上の凹角からハング下を左にトラバースするように登り、ハング下でビレイ点に着く。
 5ピッチ目、フェースを右上しカンテを越して、更にフェースを右上する。
 簡単なフェースを右上から直上し、草付きフェースからカンテを越えると南稜の馬ノ背リッジに出て、8ピッチで終了する。
 今回は、よい天気に恵まれ、本谷から滝谷スラブが一望でき、白いスラブが輝いていた。谷川では、今まで晴れたことがあまりなかったので、気持ちのよい快適なクライミングで大満足だった。
 南稜は登攀者がいるので、6ルンゼ右俣を懸垂で下りる。南稜テラスから登り慣れたテールリッジを下り、一ノ沢出合に着く。


取付きと南稜 イメージ


南稜フランケダイレクトルート イメージ

コース/土合〜一ノ沢出合〜テールリッジ〜南稜フランケダイレクトルート〜6ルンゼ下降〜テールリッジ〜
    一ノ倉沢出合〜土合

                             盛岡山想会山懐10号より掲載 記:小田中 智
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